三河島駅で降りて、スマホで現在地を見てみてください。
出てくる住所は「荒川区西日暮里一丁目」です。三河島、どこにも書いてありません。
「え、駅名まちがってない?」と思うかもしれませんが、まちがっていません。消えたのは町名のほうです。
「三河島」という町は、いつ消えた?
もともとこの一帯は三河島村、のちに三河島町という、れっきとした自治体でした。1932年に東京市に編入されて荒川区の一部になります。
そして1960年代。住所の付け方を整理する流れのなかで、三河島の町名は「荒川」「東日暮里」「西日暮里」などに順番に置き換えられ、1966年に町名としては姿を消しました。
残ったのは駅の名前と、あとでご紹介するいくつかの「三河島」だけ。駅は1905年(明治38年)開業なので、町名よりも駅のほうが長生きした形です。
そもそも、なぜ「三河」で「島」?
これは諸説あります。
- 3つの川に囲まれた、中洲のような土地だったから
- 木戸三河守という武将が住んでいたから
- 徳川家康が関東に入ったとき、三河国から付いてきた人たちが住んだから
どれが正解かは、はっきりしていません。ただ、どの説をとっても「低くて水に縁のある土地だった」という雰囲気は伝わってきます。部屋探しのときは、どの街でもそうですが、ハザードマップを一度見ておくと安心です。
将軍にも献上された「三河島菜」
三河島の名前が残っているものの代表が、野菜です。
三河島菜は、江戸を代表する漬け菜。荒川区の紹介によると、鷹狩りに訪れた将軍に献上された記録もあるそうです。ところが白菜が日本に入ってくると栽培されなくなり、長いあいだ「幻の野菜」になっていました。
それが近年、仙台で育てられていた「仙台芭蕉菜」が三河島菜の子孫にあたると分かり、「青茎三河島菜」として復活。2012年(平成24年)からは都立農産高校で栽培が続けられ、区役所の食堂でフェアが開かれたりしています。
町名は消えても、菜っ葉は帰ってきた。なかなかいい話です。
日本で最初の近代下水処理場も「三河島」
もうひとつの「三河島」が、三河島水再生センターです。
1922年(大正11年)に動きはじめた、日本で最初の近代的な下水処理場。当時のポンプ場の施設は、2007年に国の重要文化財に指定されています。下水道の施設が重要文化財になるのは、かなりめずらしいことです。
施設の上には荒川自然公園が造られていて、野球場やテニスコート、池などがあります。地味ですが、東京の暮らしを100年支えてきた場所です。
駅のまわりは、焼肉と韓国食材の街
三河島駅のまわりは、焼肉店などハングルの看板が並ぶコリアンタウンとしても知られています。朝鮮半島出身の人たちが古くから暮らしてきた歴史があり、その食文化が街に根づいています。
観光で行く街というより、ふだんの晩ごはんの選択肢に焼肉や韓国料理がふつうに入ってくる街。そう考えると、外食派にはなかなか魅力的です。
駅前はこれから大きく変わります
ここは、部屋探しをする人に知っておいてほしいところです。
駅の北側では「三河島駅前北地区第一種市街地再開発事業」が進んでいます。荒川区の公表(2026年8月更新)によると、区域は約1.5ヘクタール。住宅・商業・業務施設などが入る計画で、スケジュールは次のとおりです。
- 2025年(令和7年)11月:解体工事に着手
- 令和8年度:建設工事に着手
- 令和12年度:工事完了の予定
つまり、これから数年は駅前で工事が続きます。完成すれば便利になりますが、それまでは工事車両や音の影響が出る場所もあるはずです。内見のときは、物件と工事区域の位置関係を地図で確認しておくのがおすすめです。
家賃相場はどれくらい?
SUUMOの駅別家賃相場(2026年10月確認)では、こうなっています。
- 1K:7.5〜10.5万円
- 1DK〜1LDK:8.2〜15.0万円
幅の下は「アパート・築15〜20年・駅徒歩5〜10分」、上は「マンション・新築・駅徒歩5分以内」の相場です。
となりの日暮里は1Kが7.9〜12.2万円。三河島は常磐線の快速が停まる駅で、路線は1本だけですが、そのぶん日暮里より少し落ち着いた相場になっています。
駅のまわりの数字
地図データ(OpenStreetMap、2026年10月時点)で駅から800m以内を数えると、スーパーが20件、コンビニが21件、飲食店が104件ありました。駅から1km以内の公園は47件です。
※地図に登録されていないお店もあるので、件数は目安です。
スーパー20件は、当サイトで扱っている常磐線19駅のなかで上野に次ぐ多さです。日々の買い物の選択肢には困りにくそうです。
駅の詳しいデータはこちらにまとめています。
「いま」と「数年後」の両方で見る駅
三河島は、町名は消えたのに、駅と野菜と下水処理場に名前が残っている、ちょっと不思議な街です。上野に近く、日々の買い物にも困りにくい一方で、駅前はこれから再開発で大きく変わっていきます。
「いまの暮らしやすさ」と「数年後の姿」、両方を見て決めたい駅です。
参考
- 三河島 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/三河島
- 三河島駅 – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/三河島駅
- 三河島水再生センター – Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/三河島水再生センター
- 荒川区公式サイト「復活!江戸東京伝統野菜」 https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a022/kankoleisure/tokusanhin/dentoyasai.html
- 荒川区公式サイト「三河島駅前北地区再開発」 https://www.city.arakawa.tokyo.jp/a041/machizukuridoboku/machizukuri/mikawashimakitachiku.html
- SUUMO 家賃相場(三河島駅) https://suumo.jp/chintai/soba/tokyo/ek_36460/


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